• 40代・50代、シニア世代のための川崎市麻生区在住の独立系FP

皆さんはご自身で保有されている外貨資産の商品の中身(為替相場の影響等)についてどこまで理解されていますか。

下記はNISAで人気の『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)月次レポート(2024年7月)』からの「基準価額」の抜粋です。
いかに為替の影響が大きい、ということがわかるかと思います。

□基準価額の変動要因(概算)
・基準価額(分配落後)『設定来計』:15,027(円)
・内『為替要因』: 4,991(円)

スタート時の基準価額「10,000円」から「15,027円」上がって、7月31日現在の基準価額は「25,027円」(125%強)
価格の変化「+15,027円」のうち、為替差益(円安)の要因が「4,991円」を占めている(約33.2%)

「円安の進行」(※1)は、全世界株式型、S&P500指数連動型、先進国株式型といった円建てで海外資産に投資するインデックス・ファンドにとってはプラスに働くことになります。

(※1)「円安の進行」については以下のコラムを参考
 参考:円建ての運用商品を使って国際分散投資に取り組みましょう

2024年の前半までは円安が進むほど円建てでの基準価額が大きくなり、円建てで海外資産に投資するインデックス・ファンドそのものの値動きに加えて円安効果が相乗されて利益が膨らんでいました

これは換言すれば、円安から円高にトレンドが転換し、世界的な株価の下落が同時に進行すると、円建ての基準価額は一気に縮んで、投資を始めた時期によっては大きな損失も発生することになります。

インデックスファンドへの投資は、長期間の運用で資産形成を目指す投資手法です。短期の為替動向や投資した商品の値動きに一喜一憂しても、あまり意味はありません。

長期的な投資を前提に考えると、円高にはプラスの側面もあります。
新たな購入においては、同じ投資額で多くのインデックス・ファンドを買い入れることが可能です。

淡々と定期的に一定額ずつ積立投資を続ける「ドルコスト平均法」という投資方法を実践していくことで、「円高」傾向のときは保有している外貨の資産価値は減少しますが、同じ金額で多くの外貨資産を購入することができるため、平均購入単価を下げることができます。

「購入」に関しては、為替相場が「円高」か「円安」かを気にせずに早めに投資を始めて淡々と続けていくことで、長期的には株価だけではなく為替の影響も平準化できます。
一方「売却」に関しては、円安のタイミングで売却することが有利になります。また定期的に売却を進めることで為替の影響を小さくすることができます。

為替の動きを予測することはプロでも難しいです。
今後、円安が修正されて円高方向に振れ、予想外の株価の下落に直面することになっても、慌てずに長期で付き合う心構えを持つようにしましょう。