• 40代・50代、シニア世代のための川崎市麻生区在住の独立系FP

公的年金は基本的に65歳から受け取れますが、65歳より後に「繰り下げる(遅らせる)」ことで、受け取る年金を増やすことができます。
70歳まで繰り下げると年金額は42%も増えることになるので、非常に魅力的な資産運用法といえます。

しかしメリットばかりではありません。
会社員が加入している「厚生年金保険」では、支給を遅らせると「加給年金や「振替加算」が支給されません
厚生年金の加入期間が20年以上ある人が65歳で年金を受け取り始める時に生計を維持している65歳未満の配偶者がいると、年間で389,800円の加給年金額が付きますが、これが支給されません。また年金を受け取っている人の昭和41年4月1日以前生まれの配偶者が65歳になると、配偶者の年金に数万円の「振替加算」が付く場合がありますが、これも支給されません。

「繰り下げ」することで年金額が増えれば、税金のほか、健康保険や介護保険といった社会保険料なども増える場合が多く、その分年金額の「手取り」は目減りします。一方で年金収入が増えれば、医療保険や介護保険の負担割合が変わり、世帯の支出が膨らむこともあるので注意が必要です。

「加給年金」を受けたいのであれば「老齢厚生年金」は「繰り下げ」支給せずに、また夫婦では夫が先に死ぬケースが多いので、後に残る妻の「老齢基礎年金」だけを「繰り下げ」支給にするといった案も考えられます。

公的年金は何も手続きをしなければ自動的に「繰り下げ」となるので、もらい始めたいときに手続きをします。
受け取り方は、「繰り下げによる増額請求」と「増額のない年金を遡ってまとめて請求」のどちらかを選ぶことができます。