2019年5月22日のコラムで、
・投資の世界で最も重要なことは銘柄選択や投資のタイミングではなく、投資の成果は「アセットアロケーション」でほとんど決まってしまう
とお伝えしました。
「アセットアロケーション」は、株式や債券など複数の資産に配分しリスクを小さくする投資戦略ですが、アセット(資産)のロケーション(置き場所)を適切にすることにより全体のパフォーマンスをあげていくという「アセットロケーション」の考え方も大切です。
一般的に個人が金融機関で資産形成・運用する際の口座には、
・課税口座:特定口座や一般口座
・非課税口座:つみたてNISA口座やiDeCo口座
があげられます。
つみたてNISA口座やiDeCo口座は、税制優遇のメリットがありますが、投資金額に上限があったり、投資期間が定めれれていたり、対象商品が限られていたりするなどのデメリットがあります。
一方、課税口座は、運用し利益が出た場合には利益に対して20.315%課税されますが、投資金額、投資期間、対象商品の制限はありません。また、特定口座や一般口座で保有する他の株式等の配当金や売買益等との損益通算ができたり、本年分の損失を控除しきれないときに、翌年以降にその損失を繰り越して翌年以降の利益から控除(繰越控除)することもできます。
課税口座、つみたてNISA口座、iDeCo口座をそれぞれ利用する場合は、その中での商品選択や資産配分が部分最適にならないように、全体最適の視点で全体のポートフォリオを意識してどの口座で何を運用するかを考えて決めていくことが大切です。
期待リターンの高い商品と期待リターンの低い商品を保有している場合、期待リターンの高い商品は非課税口座で運用し、期待リターンの低い商品は課税口座で運用すると、ポートフォリオ全体のパフォーマンスがあがります。
例えばA氏とB氏が共に定期預金(利回り0.1%)と投資信託(利回り5.0%)の2つの商品を100万円ずつ保有していると仮定します。
A氏は課税口座で定期預金を運用し非課税口座で投資信託を運用、B氏は課税口座で投資信託を運用し非課税口座で定期預金を運用している場合、税引き後のリターンは、A氏は2.54%、B氏は2.05%になります。
同じアセットアロケーション(資産配分)だったとしても、どの資産をどの口座で保有するかでリターンは変わります。
アセットロケーション(口座配分)は全体最適の視点で考えましょう。